当地区での口腔ケア・リハビリの症例報告

4月2日に行われた摂食・嚥下支援プロジェクトチーム研修会で症例検討した歯科衛生士さんが中心となって行っている口腔ケアの症例を紹介します。
認知症があってほとんどしゃべれなかった方が、はっきりしゃべるようになり、ペースト食を介助者がお口に入れてさしあげていた状況から
3年間口腔ケアを続けてきて  自分でスプーンを持ってミキサー食を食べることができるまで口腔機能が回復した症例です。


歯科医師会会員のある先生の診療所では、施設に入所されている利用者さんの口腔ケアに
3年ほど前から週一回のペースで通っています。
きっかけは飯田下伊那歯科医師会が施設の無料歯科健診をした際、継続した口腔ケアを希望する方を募ったことでした。
患者さんはYRさん75歳の女性。くも膜下出血と水頭症の既往があり要介護5判定の方です。人見知りが強く話をせず、左半身麻痺があります。
上顎に歯の根っこだけが何本か残っていて下顎に前歯が残っていました。

口腔ケアを始めたころは、緊張がひどく、車椅子に乗っていても反り返りが強く見られ 歯ブラシを口腔内に入れられることを怖がっていました。

1年目は 指を使っての口腔中マッサージから始まって、一番やわらかい歯ブラシを使っての口腔内粘膜のマッサージ、更にやわらかめの歯ブラシを使っての歯磨きができるようになりました。
舌の運動機能のリハビリも行いはじめました。当初は舌を前に出すこともできない状態でした。
はじめは触られるのも拒否して一方的に話しかけるのみだったコミュニケーションも、1年間ほど話しかけ続けるうちに 帰りには挨拶をしてくれるようになりました。毎回ケアの最後に手と手でハイタッチをして帰ってきていたので、それが口腔ケアの後のお楽しみのようでした。

2年目に知り合いの接骨医さんからリハビリについて教えてもらう機会があり、その手法も取り入れてみました。歯科医師会のケア講習会で習ったリハビリの方法も取り入れてみました。

3年目になると右手でスプーンを持って食べることができるようになりました。歯みがきはまだ十分にはできませんが自分で歯ブラシを持って前歯に当ててゴシゴシできるようになりました。
3年目からは発音訓練も取り入れました。1回の口腔ケアで発音訓練票に沿った言葉を2種類程度訓練して 何回かかけて訓練票が一通り終わりました。今は更に高度の発音訓練票に沿った訓練をしています。
今では、舌の掃除をして差し上げると喜んでいただけるようになりました。発音ができるようになり、舌も良く動くようになってきています。
発音訓練により発音ができるようになり おしゃべりをするようになり明るくなってきたYRさんの発音訓練を見ていた施設の方たちが毎日の食事の前にみんなで発音訓練をするようになりました。

口腔ケアを始める前は口の中に水を入れても最初は自力では吐き出すことができなかったのが自分で吐き出せるようになり、ムセ予防に自分で ペッペッ とできるようになりました。
食事もペースト食を介助者がお口に入れてさしあげていたのが 口腔ケアを始めてから3年が立った今、ミキサー食を自分でスプーンを持って食べることができるようになりました。風邪も引かなくなりました。
ケア時にもコミュニケーションが取れるようになり、始めのころは車椅子の上で後ろに反り返っていた状態だったYRさんの反り返りが少なくなり、患者さんのほうもケアを受けやすい姿勢になるように気を使ってくれているようです。

施設の人からは YRさんが自分で食事を食べてくれるようになったこと、明るくしゃべるようになったことで感謝されています。
YRさんの口腔リハビリの成果を見て口腔ケアを希望される方が増えてきています。

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